あべ司法書士事務所

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家族信託のことを、"できそこない村上春樹 " 調の文章で読んでみる(2025/05/05)

 

ある朝、僕は食パンを焼きながら、ふと思った。

もし明日僕が突然、何もかもわからなくなってしまったら、このレコードの針を誰が落としてくれるのだろう。

人生というのは、ときどき予想もしない形で針飛びする。
認知症になるとか、身体が動かなくなるとか、あるいは― 、人としての判断が、ある日を境にうまくできなくなるとか。
でも、それは誰の身にも起こりうることだ。

僕の知り合いの女性が、ある日、こう言った。
「家族信託って、なんか宗教っぽくない?」
確かに響きはそれっぽい。でも中身はずっと実務的だ。
ようするにこういうことだ。

たとえば、君がジャズのレコードを百枚持っているとして、その中で「これは処分せずに残したい」「これは売って資金にしてもいい」といった意志があるとする。
けれど君がある日、レコードの名前すら思い出せなくなってしまったら?

そこで、君がまだしっかりしているうちに、誰かに託すのだ。
信頼できる人
たとえば娘とか、甥っ子とか、あるいは猫の世話をしてくれてる隣人の佐藤さんとか(これは少し冒険だけど)。

「僕の代わりに、この財産をこういうふうに使ってね」と、明確にルールを決めておく。
そうすると、たとえ君の思考の針が少しばかりズレたとしても、レコードは回り続ける。

これが家族信託の本質だ。

遺言とは違う。遺言は死んでから効力が出る。
成年後見とも違う。成年後見のことを悪く言うつもりはないが、すこし硬直的な
ところはあるみたいだ。

家族信託は、生きている“今”から効く。
そして、それは君が自分の意志で、誰に、何を託すか決められる制度なんだ。

たとえば、祖母が「この古い家を売らずに残しておきたい」と思ったとして、その管理を孫に任せる。
孫は“受託者”となって祖母の希望に沿った形で財産を管理し、必要なら家を修繕したり、収益物件として貸したりもできる。
そして祖母が亡くなったあとのことも、その契約に沿って、静かに、でも確実に処理されていく。

つまり、これは“信じる力”の契約なんだ。
裁判所じゃなくて、人と人との信頼が、その制度の軸になる。
なんだか悪くないと思わないかい?

 

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