あべ司法書士事務所
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遺言書は、民法の定める方式さえ守っていれば、基本的には何を書いても構いません
しかし、何を書いても法的な効力が生じるかというと、そうではありません
法的な効力が生じるのは、民法を中心とした法律で定められた事項に限られます
例えば、
■相続分の指定(民法のいわゆる「法定相続分」とは異なる割合を指定できる→「長男の相続分を3分の1、次男の相続分を3分の2とする」など)
■遺産分割方法の指定(→「不動産を妻に、預貯金を長女に相続させる」など)
■遺言執行者の指定
といった事項については、遺言書に書いておくことで法的な効力が生じます
一方、法律で定められていない事項である、「自分の葬式や法要のやり方」「母親の面倒は○○がみること」「会社の後継者の指定」などは、遺言書に書いてもそれによって法的な拘束力が生じる訳ではありません
しかしながら、法的な効力が発生しないからといって、書いておくことに意味が無いかというと、そうではありません
例えば、上で法的な効力が生じる事項として挙げた「遺産配分」について、その「理由」や、「感謝の気持ち」、「不利に扱うことになってしまった相続人に対する気遣い」を書いておくことは、遺された家族の間のしこりのような感情を解消し、争いの防止につながる可能性があります
そこで、実際には、こうした「法的な効力は生じないけれども、書き残しておきたい(書き残しておいた方がよい)こと」も遺言書に書いておく、ということが行われています
これを、遺言書における「付言事項」と言います
例えば、遺産の配分方法について、
「付言事項 次男のBと嫁のCには、亡くなったお母さんの介護に続き、私の老後の世話もしてくれて大変感謝しています 長男のAも遠くにいながらいつも気遣ってくれ、とてもありがたく思っています 自分の財産には先祖から引き継いだものもあるので、地元に残っているBに多くを相続させることにしましたが、二人とも私の大切な息子であることに変わりはありません Aには分かってもらえると思っています どうか、これからも兄弟二人仲良くやっていって下さい 本当にありがとう」
といったようなことが書いてあれば、何の説明もなしに配分方法の結論だけが書いてあるよりは、不利に扱われた方の納得が得られやすくなる、ということはあると思います
たとえ法的な拘束力は無くとも、「付言事項」として遺言書に書いておくことで、ご家族にご自身の「想い」を伝える意味は、十分にあると思います
(なお、法的な効力を持たない「想い」等を伝えたい場合には、「エンディングノート(もしもノート)」を利用するのも一つの手段と言えます)